法令ノート/刑訴法/捜査/捜索･差押

◆裁判所は、許可状発布の際に、捜索・差押えの必要性(§118-1)を判断できるか
→判断できる
(理)
必要性について裁判官が判断できれば、司法による違法捜査への実質的抑制機能が働く。
したがって、逮捕についての199-2項但書の趣旨を及ぼすべきである。

Q 必要性の判断基準
→ 証拠物または没収すべき物と思料されるものの他、
犯罪の態様、差押え物の証拠としての価値、重要性などを考慮し、判断する

◆捜索・差押令状の記載事項
どのような事項が記載されるか
差押えるべき物の特定性
罪状･被疑事実の記載も要求されるか

１、捜索・差押え許可状に特定性を要求する趣旨
→ 濫用を防止し、被執行者に受忍範囲を明示する必要があるため

２、場所の特定性
→社会通念に照らして合理的に解釈して特定しうる程度の記載を要求すべきである。
具体的には、人の住居権（保護の対象）の個数を基準に特定明記すべき
(理) 右の趣旨を実現するためである。

対して、押収する物については
→包括的な表示でも許される(各記載事項があいまって令状の特定性の趣旨を満たせばよい)
(例えば、罪名の記載によって限定されればよい)
(理)
捜査の初期段階では、差押え物が捜査機関にも具体的に判明しないことが多い。
それでも特定性を要求すると、
捜査の困難から、被疑者の早期逮捕など好ましくない捜査を誘発するおそれがあるからである。

◆捜索・差押えが妨害された場合、捜査機関は実力行使ができるか
→必要最小限度の実力行使は許される
(理)
捜索・差押えには妨害が伴うことが通常予想される。
とすると、
執行を可能にする必要性から、令状にある程度の実力行使の許可が含まれている。

◆承諾(同意)の下になされる捜索・差押え
→任意捜査として、無令状でできる。
(理)個人的利益の放棄があるから人権侵害のおそれは低い

要件
① 承諾をなす権限を有する者が
② その意味を充分に理解して
③ 自由な意思で積極的に同意
(理)
承諾の意味・効果を知らないでなされる場合が多く、
時には、官権への屈服として権利放棄がなされたおそれもあり、
安易な脱法行為を許す危険がある。
故に、厳格に解するべきである。

④ およそ許されない場合(承諾留置・家宅捜索・女子の身体検査)でないこと
(理)これらは通常任意の承諾が認められなので特に令状主義が採用されている。

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