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《公共の平穏》〔騒乱〕(106・107)
〔放火・失火〕(108〜118)・現住建造物放火罪(§108)
・非現住建造物放火(109-)
・延焼罪(§111)
〔出水・水利〕(119〜123)
〔往来妨害〕(124〜129)・汽車電車転覆(129-3)
・  同 覆没致死(129-3)
《公共の信用》〔通貨〕(148〜153)・通貨偽造(148-1)
・偽造通貨行使(148-2)
・通貨偽造準備(153)
〔文書〕(154〜161ノ2)・公文書偽造罪(155)
・私文書偽造(159)
・虚偽公文書作成(156)
・偽造公文書行使(158)
〔有価証券〕(162・163)・有価証券偽造(162)
・偽造有価証券等行使(163)
〔印章〕(19章 164〜168)
《公衆の健康》〔あへん煙〕(136〜141)
〔飲料水〕(142〜147)
《風俗》〔猥褻・姦淫・重婚〕(174〜184)・公然猥褻(174)
・猥褻物頒布(175)
〔賭博・富くじ〕(185〜187)
〔礼拝所・墳墓〕(188〜192)


二 放火罪 Edit

保護法益;不特定多数人又は居住者及び建造物内等に現在する人の生命・身体・財産の安全


客体行為公共危険
の発生
未遂
予備
延焼罪(111)
客体結果
1現住建造物放火
(108)
人が住居に使用し、
かつ
人の現存する
建造物・艦船・鉱坑・汽車・電車
火を放ち、
焼損
(独立燃焼説)
×
(112)
(113)
2非現住建造物放火
(109-1)
人が住居に使用せず、
又は
人の現存しない
建造物・艦船・鉱坑
3同上(特則)(109-2)2.の自己所有物×1.2.延焼
(111-1)
4建造物以外放火
(110-1)
1.2.以外の物
5同上(特則)(110-2)4.の自己所有物・1.2.延焼
・4.延焼
(111-1、2)

現住建造物放火罪(§108) Edit

◆客体 ; 「現住」する
「住居」→現に人の起臥寝食の場所として日常使用されるもの

Q 「現在」性の有無
Q1 AがB居住の家屋に放火したが、Bは既に死亡していた場合
Q2 AがBを殺害後Bの家屋に放火した場合

◆行為 ;
「火を放ち」 (実行の着手時期)
「焼損」 (実行の終了時期)

Q 「火を放ち」とは(実行の着手時期)
→焼毀の結果への現実的な危険が発生する時点
(理)
このような危険性が認められれば、実行の着手あるから、
媒介物を利用する場合も含まれる

EX 現住建造物を放火する目的で物置に火を付けたが、物置が全焼しただけでも
→現住建造物放火の未遂

Q 焼損とは
→火が媒介物を離れ、目的物が独立に燃焼を継続する状態に達したこと(独立燃焼説)
(理)公共の危険はこの時点で発生する。
しかも、
未遂のない失火罪と既遂時期を統一的に把握できる

VS
効用毀滅説
燃え上がり説

非現住建造物放火罪(§109-1) Edit

Q1 「公共の危険」とは→延焼による生命・身体・財産に危害の発生を、一般不特定人の多数が感じるに相当の理由がある状態

判断基準 → 具体的状況に置ける一般人の判断を基準として客観的に行う

Q2 公共の危険の認識を要するか
(2)不要説(判例)
(理)本罪は、器物損壊罪の結果的加重犯

        ↓
   重い結果についての認識を不要

(批)基本犯たる器物損壊罪と放火罪とは保護法益が異なるから、

   後者を前者の加重形態とするのは無理がある。

 
(1)必要説(通)
(理)「公共の危険の発生」は構成要件に該当する事実である。
 
Q3 公共の危険の発生の認識とは、
→仝共の危険の発生の予見はあるが、

 延焼の具体的認識を欠いている心理的状態をさす。

(理)延焼罪の故意との区別のためである。

延焼罪(§111) Edit

Q 延焼に対する予見可能性の要否

三 往来妨害罪 Edit

類型基本犯未遂罪
(128)
結果的加重犯
主体客体行為結果
往来妨害罪
(124-1)
陸路・水路・橋損壊・閉塞往来妨害(124-2)
(致死傷罪)
往来危険罪
(125)
鉄道・標識(1項)
灯台・浮標(2項)
損壊・その他汽車・電車の(1項)
艦船の(2項)
往来危険
汽車転覆罪
(126-1)
現に人がいる
汽車・電車
転覆・破壊(126-3)
(致死罪)
艦船沈没罪
(126-2)
現に人がいる艦船転覆・沈没・破壊
往来危険汽車転覆罪
(127)
汽車・電車・艦船125の罪を犯しよって
転覆・沈没・破壊
「前条の例による」
過失往来危険罪
(129-1)
過失により往来危険
転覆・破壊
沈没・破壊
業務上過失往来危険罪
(129-2)
業務従事者

汽車電車転覆・艦船覆没致死罪(§129-3) Edit

Q 本条の「人」には車外の人も含むか →肯定(S30.6.22)

四 通貨偽造罪    Edit

保護法益;通貨に対する公共の信用(争いあり)

通貨偽造罪(§148-1) Edit

・「行使の目的」:偽造・変造した通貨を真貨として流通におく目的
・「偽造」:一般人をして真貨と誤信させるような外観の物を作成すること
・「変造」:真貨に加工して価値の異なる通貨に改めること

偽造通貨行使罪(148-2) Edit

・「行使」:偽貨を真貨として流通におくこと

Q 行使罪のほかに詐欺罪も成立するか

通貨偽造準備罪(§153) Edit

□「準備」→器械,原料などを用意し,偽造,変造を容易にする行為

□ 本罪と共犯の成否(予備と共犯)

五 文書偽造罪 Edit

保護法益;公文書に対する公共の信用

文書文字その他の可視的方法を用い、
ある程度持続すべき状態において、
特定人の意思または観念を物体上に表示したもので、
その表示の内容が,法律上または社会生活上重要な事項に関する証拠となりうるもの
行使の目的他人をして文書を真正・真実な文書と誤信させようとする目的

155条(公文書偽造罪) Edit

公務所若しくは公務員の
作成すべき文書若しくは図画
公務所又は公務員が&br その名義をもって権限内において
所定の形式に従って
作成すべき
文書もしくは図画
「偽造」名義人でない者が名義を冒用して文書を作成すること
(名義人を偽ること)(有形偽造)
(理)文書偽造罪の保護法益たる文書に対する公共の信用は、
作成権者によって作成されたかに向けられる。
すなわち、
内容的には真実であっても
作成者の意思に反して名義を冒用する行為は禁止する必要性がある(形式主義)

|「変造」|作成権限のない者が、
真正に成立した文書の非本質部分に変更を加え

新たな証明力を作出すること|

名義人文書に表示されている意思又は観念の主体
作成者(1)現実に文書の内容を表示した者(事実説)
(2)文書を作成させた意思の主体(観念説)(大谷)
(理)現実に文書を作るものと文書の名義人は異なることが通常である。

CF 実際に文書を作成した者と捉える見解
(批)社長が秘書にタイプさせる場合も秘書を文書の作成者となるのは妥当でない。

私文書偽造罪(§159) Edit

・「権利、義務〜に関する文書」:権利又は義務の発生・存続・変更・消滅の法律効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする文書

Q「事実証明に関する文書」
実生活に交渉を有する事項を証明するに足りる文書(判例)
(批)
文書は何らか実生活に交渉を持つ以上、客体を限定した意味がなくなる。
従って、
処罰に値するだけの何らかの重要性を要求すべきである。

法律上何らかの意味を有する社会生活上の利害関係のある事実の証明に関する文書(通説)

◆ 架空人名義の文書(名義人の存在しない文書)は本罪の客体となるか。
→肯定
(理)
公共の文書に対する信頼を害される点は
名義人の存在不存在とは関係がない。

◆ 写真コピーが文書偽造罪の客体にあたるか
→あたる

Q1 文書偽造の客体は原本に限るか。
本来、写しは、写しの作成者による原本内容の変更を伴う可能性があるから、客体たりえない。
しかし、
その写しに原本と同様の社会的機能と信用性がある場合、写しも本罪の客体としうる。
そして、
写しとしての写真コピーは原本と同一の意識内容を保有しており、
右の意味の条件を満たしている。

Q2 偽造といえるか
 
q1 名義人は誰か
→原本の名義人 
(理)本罪の保護法益は文書に対する一般人の信用である。
従って、
名義人が誰かの判断基準は→ 一般人が文書をみて誰が名義人と考えるかによる
 
そして
写真コピーには、原本と同様の信用性があるから、
一般人は名義人を原本の名義人と同様に考えるであろう。
 
Q3 複写された印象・署名は
→原本作成名義人の印章である。
(理)写真コピーが原本と同一の意識内容を保有しているからである。

◆ 代理名義の冒用は「偽造」にあたるか

代理名義の冒用→代理権を有しない甲が 「A代理人甲」と表示して文書を作成

Q1 §159「偽造」とは
→権限なくして
他人名義の文書を作成すること(有形偽造)

Q2 この文書の名義人は誰か
→A (本人説)(通判)
(理)一般人が文書に対する信用をどこにおくかによって判断する。
そうすると
代理の効果は甲に帰属する以上、文書を見たものは甲を名義人と考える。

Q3 作成者は → 甲

よって
文書の名義人と作成者が一致しない → 有形偽造
 
Q3 では本件を処罰できるか
→ 当然可(§159)

◆ 名義人の承諾ある場合
(原則)→真正文書

(例外)(文書の性質上名義人自身による作成だけが予定されている文書)→不真正文書
(理)名義人と作成者が同一でないと、名義人と作成者の齟齬が発生してしまう。

1、交通反則切符(交通事件原票・反則切符等に承諾を得て他人の名前を書き込む行為)
(理)原票・反則切符は公の手続に用いられる。
しかも
反則制度では簡易迅速な手続が要求される。
従って、
名義人自身による作成だけが予定されている文書にあたる。

2、替玉受験(Q 文書偽造罪にあたるか)

Q1 解答用紙が事実証明に関する文書にあたるか。
→あたる
(理)解答用紙は採点されることで志願者の学力を示す資料となる。
従って、
志願者の学力の証明に関する文書にあたる
 
Q2 承諾あるのに偽造といえるか
→いえる
(理)答案は志願者の学力を図るものであるから,
性質上名義人自身による作成が予定されている。

虚偽公文書作成罪(§156) Edit

「公務員」職務上、当該文書若しくは図画の作成権限を有する公務員
「虚偽文書の作成」文書の作成権限を有する者が
真実に反する内容の文書を作成すること

Q §157にあたらない虚偽公文書作成の間接正犯を処罰できるか
→否定

Q1 身分犯の間接正犯は可能か。
→可能
(理)

身分者を道具として法益侵害できるから

 
Q2 公正証書等原本不実記載罪(§157)の趣旨

公文書の間接正犯的態様を特に処罰するもの
                   ↓
法は、本条に該当しない間接正犯形態を処罰しない趣旨

偽造公文書行使罪(§158) Edit

・「行使」:文書を他人が認識しうる状態におくこと(他人の認識可能性)

Q 偽造の運転免許証を携帯しているだけで「行使」といえるか
 →否定
 (理)認識しうる状態にない以上は、公衆の信用が害される危険性が低いから処罰できない。
 

六 有価証券偽造罪      Edit

 保護法益;有価証券に対する公共の信用

「有価証券財産権を表章した証券であって、
その権利の行使または移転にその証券の占有を必要とするもの

Q テレホンカードは有価証券か。
→有価証券にあたる。
(理)

有価証券は文書の一種と解される。
しかし
テレホンカードは可読性のない磁気情報部分に本質があるから、有価証券とはいえないともみうる。
しかし
かように解するのはテレホンカードのもつ社会的有用性が考慮されていない。
思うに
テレホンカードの券面上の記載と磁気情報部分を一体としてみれば、そこには
電話の役務の提供を受ける財産上の権利が証券上に表示されていると認められる。
かつ
有価証券というには、権利の行使にその占有が必要であるが、
テレホンカードはこれを電話機に挿入することによって使用するものである。

有価証券偽造罪(§162) Edit

「偽造」権限を有しない者が、他人の名義を冒用して、
一般人が真正な有価証券であると誤信する程度の有価証券を作成すること
「変造」権限を有しない者が、真正に成立した他人名義の有価証券に不正に変更を加え、
一般人が真正なものとして誤信する程度の外観・形式にすること
「虚偽の記入」真実に反する記載をする一切の行為
「行使の目的」真正な有価証券として使用する目的

偽造有価証券等行使罪(§163) Edit

「行使」内容の真実な有価証券として使用すること
「交付」情を知らない他人に偽造・変造・虚偽記入の有価証券であることを告げて、
又は情を知っている他人にこれを与えること

七 印章偽造罪 Edit

八 猥褻罪   Edit

保護法益;社会の健全な性的風俗

公然わいせつ罪(§174) Edit

「公然と」不特定又は多数人の認識し得る状態
「わいせつな」行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる動作で、
普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの

わいせつ物頒布等の罪(175) Edit

「わいせつ」いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、
かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、
善良な性的道義観念に反するもの
「販売」不特定又は多数人に対して有償で譲渡すること
「頒布」「販売」以外の交付
「公然と陳列」不特定又は多数人が観覧し得る状態に置くこと

九 賭博罪 Edit

・賭博→偶然の勝敗に関し,財物をもって博戯または賭事をすること



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