![[shitumunote]](image/pukiwiki.png "[執務ノート]")
(一)序説 †
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 本人行為説 | 代理人行為説 | |
| →本人の代理権授与行為にある。 | ||
| (理) | 私的自治の観点からは、法律効果の帰属は、帰属主体の意思に基づくと考える。 |
両説の比較 答Ｐ171
法定代理制度の説明
法定代理は、本人の授権行為に基づいて代理行為の効果が帰属するのではない。
とすると
Q 本人行為説ではこれをどのように説明するのか 答Ｐ146
Q§102-2 の適用範囲を拡張できるか
Qできるとすればどの程度拡張できるか 答Ｐ181,185
| 欺罔者 | 代理人 | |
| 被欺罔者 | 本人 | 相手方 |
| ケース | 代理権授与行為を詐欺で与えた | 相手方を欺岡して代理行為をした |
| 代理権授与行為は法律行為である。 従って、本人は代理権授与行為を取消うる。 ＊ 既に、取り消される前に代理人が為した行為は、 取消の遡及効によって無効となる。 しかし、取引をした相手方は 九六条三項？表見代理？ | Q 代理行為の効力 [83] この点、判例は101-1を用いて 相手方は当該行為を取り消しうるとする。 (批)§101は代理人が詐欺された場合の規定であるから 同条を用いるのは妥当でない。 本件は、本人・相手方からすれば第三者の詐欺に見える。 しかし、本人は代理人によって利益を受けるものであるから、 代理人は実質的には96-2の｢第三者｣とはいえない。 従って、相手は96-2の制限を受けないで当該行為を取消すことができる。 | |
| 相手方が本人を詐欺した場合 | 相手方が代理人を詐欺した場合 |
| 第三者の詐欺として、代理権の取消が96-2によって制限されるかに見える。 しかし、代理人にとっては代理権を取り消されても何ら不都合はない。 従って、本人保護を重視し、無制限に取り消せる。 | 代理人の意思表示の効果が本人に帰属する。 従って、本人は代理人の意思表示について取消権を行使できる。 一方 その行為を代理人自ら取り消せるか否かは、 代理人に取消権行使の権限が与えられているか否かによる。 |
| 本人が代理人を詐欺した場合 (欺罔して代理行為を行うことを承諾させた) | 本人が相手方を詐欺した場合 |
| 代理人は代理授与行為を取り消しうる。 この時、代理人が取消をしても、取消の効果は遡及しない。 (理) このように解しても代理人に不利益はないし、 むしろ相手方の保護をはかりうる。 結果として、 代理人が取消までに既に行った法律行為の効果は本人に帰属する。 | 第三者の詐欺に見える。 しかし、本人は代理行為によって利益を受ける。 従って、この場合の本人は96-2の｢第三者｣にはあたらない。 結果、相手方は、代理人の代理行為について取消できる。 |
Q §101-2 の解釈 [88]
授権行為の法的性質 答Ｐ182 思Ｐ107 [84]
Ｑ授権行為における意思の瑕疵が代理行為にどのような影響を及ぼすか [85]
有因説
無因説
5 代理人が本人の名だけを示して行為をした場合の効力 [86]
6 甲所有の土地を800万円で売却する代理権を与えられた乙が､
甲になりすまして(甲と称して)､これを善意・無過失の丙に500万円で売渡した｡ この場合の代理行為の効力 [87]
7 108条違反の行為の効果 [89]
8 家主が借家人に対し､将来紛争を生じた場合に和解するために､
借家人の代理人を選ぶ権限を予め自己に授与させる契約の効力 [90]
表示機関の錯誤
例（保証債務負担の意思表示をするための使者が金を借りてくる）
→使者がそのような表示をなすことについて本人に帰責性があり、
外観を無過失で信頼した第三者は保護される。
(理)
本人の意思表示についてみると、表示と効果意思が不一致になっているので、錯誤無効の主張ができる。
しかし、錯誤無効については重過失がない限りいつでも主張できる。
このままでは代理において表見代理が成立することとの均衡を失し、取引の安全を害する。
相手側から見れば、表示の効果が本人に及ぶと信頼する点は変わらないからである。
そこで
§94-2を類推し、相手方保護をはかるべきである。
【論点】代理権授与行為の法的性質
→契約である
(理)私的自治の観点からすれば、双方の合意があって初めて代理権が授与されると解するのが妥当である。
CF 単独行為説 (理)代理人には何の不利益もない
(批)自分の知らないうちに勝手に代理人とされてしまうことを認めるわけにはいかない。
Q 他の契約と代理権授与契約とは→有因
(理)代理権は委任契約等他の契約の目的を達成するための手段として与えられる。
【論点】授権行為取消の効果
�）椰佑�取消した場合
取消の効果は、遡及的無効である（一二一条）
かかる効果は、代理行為の効果が帰属する本人保護のため、そのまま維持されてよい。
この場合、代理行為の相手方は、表見代理の規定で保護される
��代理人が取消した場合
委任契約など、代理権のもとになる契約については、原則通り遡及的無効である。
しかし、代理権については、遡及的無効とせずとも、代理人に不都合はない。
従って、相手方保護のために将来効と解すべきである。
Ｑ 授権行為が強迫を理由に取消されたが､前になされた代理行為は表見代理が成立するか
強迫によりなされた授権行為が取消された場合（９６条１項）、
すでになされた代理行為は遡及的に無効となり代理権は消滅する（１２１条）。
さらに
第三者にも対抗しうる（９６条３項反対解釈）ので、無権代理となる。
ただし、
本人の意思表示に瑕疵がある場合であるから、相手方の保護も無視できない。
そこで、
本人保護の要請と相手方の保護との調整をいかにして図るべきか、表見代理の成否が問題となる。
もっとも、
代理人の代理権は当初より無かったことになるので、問題となるのは１０９条である。
思うに、授権表示は観念の通知であって意思表示ではないが、
そこから表見代理が成立するという効果が生じることを考えれば、意思表示の規定を類推適用する必要がある。
よって、授権行為の取消により授権表示も無効となり、§109は成立しない。
それでは、相手方の保護はいかに考えるべきであろうか。
この点、１０９条が授権表示が有効であることを、本人の外観に対する帰責性ありと判断する最低限の要件としていることから、無権代理人の責任（１１７条）を追及させれば十分であると解する。
ただし、委任状を放置しておくなど、本人にあらたな帰責性が認められる場合は、
他の表見法理（102条、110条）との均衡上、表見代理（１０９条）を成立させる余地はある。
Q 直接本人名で代理行為をした場合、顕名として有効か。
→有効
(理)
代理の他人効の本質は代理権にあり、
顕名は相手方保護のため、効果の帰属先を明確にするものである。
本人名の代理行為でも、帰属先は明確になるから
【論点】代理行為の瑕疵
代理行為の瑕疵は、代理人につきこれを決する（一〇一条一項）。
しかし、代理人が心裡留保による意思表示を受けた場合、
代理人は相手方の真意について善意・無過失だが、
本人が悪意であり、かつ代理人に事情を告げることができた場合いかに解すべきか。
思うに、このような場合は本人を保護する必要性はない。
そこで、一〇一条二項によって、心裡留保による意思表示の有効を主張できない。
| 契約の場合 (§113〜117) | 単独行為の場合 (§118) | ||
| 本人の地位 | 追認権 追認拒絶権 (§113･116) | 同左 但 要件 �� �� | |
| 相手方の地位 | 催告権(§114) 取消権(§115) | ||
| 代理人の地位 (無権代理人の責任) | 相手方との関係 | ･履行責任 ･損害賠償責任 (§117) | |
| 本人との関係 | |||
無権代理人の責任(§117)
| 要件 | 問題点 | |
| １ | 無権代理であること | |
| ２ | 本人の追認がないこと(§117-1) | |
| ３ | 代理権のないことについて善意・無過失であること(§117-2) | Q「過失」は重過失に限定されるか [98] |
| ４ | 無権代理人が行為能力を有すること(§117-2) | |
| 混同原因 | 1.相続 | 2.相続以外 | |
| (1)単独相続 | (2)共同相続 | ||
| ケース | �〔妓�代理人相続型 (無権代理人の地位を相続) | ||
| �∨椰輿蠡碍� (本人の地位を相続) | �仝絽�人就任 (無権代理人が後見人に就任) [96] �∈盪砂菠�行為 (他人の権利を処分後本人から譲受けた場合) [97] | ||
| �Ａ佇�相続型 (双方の地位を相続) | |||
Q 代理行為は当然に有効となるか。(本人はなお追認拒絶権を行使し得るか。)
まず、当然追認したことになるとも考えられる。
しかし、相手方の取消権、無権代理人への責任追及などの手段を奪うのは妥当でない。
このような場合は、両者の地位が併存すると解するべきである。
1.(1)�� 無権代理人の地位を相続する場合 [93][94]
本人が無権代理行為の追認を拒絶しても、何ら信義に反するところはない。
だから、被相続人の無権代理行為は本人の相続により当然に有効となるものではない。
Q では、無権代理人の責任(§117)の履行責任を相手方が選択した場合はどうなるか
この点判例は、§117による無権代理人の債務も相続されることを認め、
相手方が善意・無過失であれば、たとえ本人が無権代理人を相続した場合でも、
§117の責任を相続人に対して追求できるとした。
しかし、
相続という偶然の事情により、本人が不当に不利に扱われるべきではない。
そこで、
不動産の引渡債務についての履行請求は原則として拒めると考える。
(理)
相続がなければ本人はその不動産を失うことはなかったのであり、
相手方も、せいぜい無権代理人から損害賠償をとることしかできなかったからである。
無権代理人の地位を得た場合
相続人はもともと本人であったのであるから、偶然の事情で追認強制されるのは酷である。
従って、本人の地位をもって追認拒絶できる。
この場合、相続人は無権代理人として、損害賠償責任を負う。
1.(1)�� 本人の地位を相続する場合 [91][92]
Q 代理行為は当然に有効となるか。(本人の追認拒絶権を無権代理人が行使し得るか。)
(1)当然有効説１（Ｓ37）（信義則説⇒ 自ら無権代理行為をしたのに
追認拒絶することは信義則に反する｡）
この立場は上記と反対の結論を導きやすい。
∵Ａは自ら無権代理行為をしていない以上
追認拒絶しても信義則に反しない。
(2)当然有効説２（Ｓ40）（人格融合説）この立場なら上記の結論を導きやすい。
∵Ａのところで人格の融合が生じている。
この点、相続を契機に相手方が有利になる理由はないとして、
無権代理人は本人の立場において追認を拒絶できるとする見解も成り立ちそうである。
しかし、
相続人が複数の場合、他の共同相続人が全員追認しているのに、
無権代理行為を行った無権代理人１人の追認拒絶で追認の効果を否定するのは不当である。
そこで、
無権代理行為を追認する権利は、その性質上相続人全員に不可分に帰属するもので、
他の共同相続人が全員追認している場合、無権代理人は追認を拒絶し得ないと解する。
このように考えても、他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は、
無権代理人の相続分に相当する部分においても、当然に有効となるものではないので、
相続を契機に相手方が有利になるということはない。
本人の地位を得た場合
相続人が自ら無権代理行為をなした場合である。とすれば、本人の地位をもって追認拒絶することは信義則に反する。
従って、追認拒絶はできない。
1.(1)�Ｌ妓�代理人の地位と本人の地位を共に相続した場合（第２回公開模試�癸魁縫廛薀�ティスＰ46
(無権代理人(本人の妻)が死亡して､先ず本人と子が共同相続し､次いで本人が死亡して子が更に相続した場合) [95]
⇒�…蒜У饑笋任�ない ┌─ 甲（本人） （被相続人）
�∨椰佑�法律行為したのと │相続1 ↓
同一の効果を生ずる ┌┼─ 乙（無権代理人）（被相続人）
（当然有効説）(S63,3,1) ││相続2 ↓
└┴─ ⇒ Ａ（相続人）
売主の責任
→ 履行責任のほか、債務不履行責任、担保責任 相手方が悪意の場合も担保責任・債務不履行責任の追及も受ける）
本人が他人物売主の地位を相続した場合、本人は契約の履行を拒絶できる。
その場合に他人物売主の負う責任は、相手方が悪意の場合売買契約を解除されるし、相手方が善意の場合は損害賠償責任を負うことになる。
さらに債務不履行責任を追及される可能性がある。
(表見代理が成立するにはどのような要件を満たさなければならないか）答Ｐ46
ｑ１一般的要件 表見法理の一般的要件
ｑ２では§109,110,112においてはどうか
まず相手方の主観的事情
次に本人側の事情
Ｑ 表見代理規定によって保護される者は直接の相手方に限られるか [102]
110条における第三者とは、代理行為の相手方をさす。
(理)相手方のさらに転得者が代理権を信頼することはほとんどあり得ない
Ｑ 表見代理が成立する場合に117条が適用されるか [100]
かかる二つの制度は要件・効果が異なり、特に表見代理は証明が難しい。
そこで
証明しやすい方を選択主張させることが相手方保護にかない、妥当であると解する。
なお
無権代理人が、表見代理の成立をを証明したとしても、無権代理人の責任を免れる分けではない。表見代理制度は無権代理人の責任を免れさせるための制度ではないからである。
Ｑ 使者と表見代理の成否 [99]
(2) 法定代理への適用の有無 [104]
(3) 自己の氏名・符号の使用を第三者に許諾していた場合 [105]
(4) 委任事項(代理権内容)の白紙の委任状の交付を受けた者が､委任事項の空白を濫用(不当補充)して代理行為をした場合 [106]
(5) 相手方名宛を白紙にした委任状の交付を受けた者が､予定されない相手方と代理行為をした場合 [107]
(6) 代理人の氏名を白紙にした白紙委任状 [108]
越権行為がなされること
基本代理権が存在すること
相手方に正当事由が存すること
1（基本代理権の存在）について
Ｑ１ そもそも基本代理権が必要か
Ｑ２ 必要だとするとどのような基本代理権でなければならないか
ｑ１ 事実行為の授権で足るか法律行為の授権に限るか [110]
ｑ２ 公法上の行為の授権も含むか 思Ｐ55 答Ｐ47 [111]
私法行為に限る（判）
但 緩和して解すべし
公法行為も含む（四宮）
ｑ３ 基本代理権は代理行為と同質でなければならないか
ｑ４ §110の基本代理権は§109,§112の基本代理権と重複するか
Ｑ３ §110が法定代理に適用されるか 答Ｐ45、48 [109]
ｑそもそも現行法においてはいかなる場合に問題となるか
後見人が後見監督人の同意を要する場合（§864、§865）
日常家事債務（§761）
Ｑ §761の権限を基本代理権として§110を適用できるか 答Ｐ49,321 [113]
ｑ１ そもそも§761の権限の法的性質
ｑ２ 同条のの権限を基本代理権として§110を適用できるか
ｑ３ では類推適用できるか
Ｑ代理人が本人を欺罔して授権行為をさせた場合も基本代理権が存在するとしてよいか
肯定説（判）（Ｓ46,3,16 ）思Ｐ105
→ 否定説
Ｑ「代理権ありと信ずべき正当な事由」とは
相手方の善意無過失で足る（我妻）
相手方の信頼をするにつき本人に帰責事由を必要とする説（四宮）
【論点】基本代理権の範囲
公法上の行為は原則基本代理権にならない。
(理)
公法上の行為は私法における取引の安全とは関係がないからである。
しかし、私法取引を前提として公法上の行為の代理権を与えられた場合、これを信頼して取引をなす可能性が高い。
このような場合、取引の安全を守る必要性があるから、公法上の行為についての代理権も基本代理権になる。
Q §761｢日常家事債務｣とは何か
→通常、食料や衣類の購入、家賃の支払、
相当な範囲内での家族の保健・医療・教育・娯楽に関する契約を指す。
Q その範囲は
夫婦の収入・職業・地位などによって異なりうるが、
取引の相手方の信頼も考慮して客観的に判断される。
しかし、配偶者の不動産の処理などは、よほど特別な事情がなければ、日常家事の範囲には入らない。
Q1 §761を根拠に夫婦間に代理権を肯定し得るか
→夫婦相互において、法定代理権を認めたものである。
(理)
§761にあたる旧民法の規定はそのように定めていたし、
通常日常家事債務については明示・黙示の代理権の授与があるからである。
761条は本来は代理権についての規定ではない。
しかし、
もし夫婦が相互に代理権を持たないとすると、日常の家事を処理するにつき不便が生ずる。
Q2 表見代理の規定は法定代理権に適用があるか。
761条で認められる代理権は法律上当然に認められる権利であるから、
一種の法定代理権である。
そこで、
法定代理権について110条の適用が可能か。
→適用される
(理)
法定代理権についても代理権の外観への信頼を保護し、取引の安全をはかる必要がある。
Q3 それでは、日常家事債務の代理権を§110の基本代理権とできるか。
→§761の代理権をそのまま基本代理権とすることはできない。
(理)
夫婦間の法定代理権を基本代理権として、広く一般的に110条の表見代理の成立を認めると夫婦の財産的独立をそこなう結果となり、妥当でない。
しかし、
日常家事の範囲は不明確であるから、相手方保護の必要性も無視できない。
そこで、
§110の趣旨を類推適用し、
当該越権行為の相手方である第三者において、その行為が当該夫婦の日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当な理由のあるときにかぎり、110条を類推適用するべきである。
Q 法人の不法行為に§110の適用が考えられる場合、いずれを優先的に適用すべきか
→まず110条の適用を検討し、それが無理な場合に44-1を適用すべき
(理)取引を有効にしてしまうのが相手方の保護にとって最も直接的であるからである。
Ｑ §109､§110､§112以外の表見代理の可能性 [101]
(1)代理権消滅後、元の代理権からしても越権された行為が行われた場合
→§112・§110を重畳適用して解決する。
(理)
本事例は§112、§110のいずれにもあたらない。
しかし、取引の安全を守る必要性は変わらない。
このように考えると、民法が条文に規定された場合だけ相手方を保護する趣旨であるとは考えられない。
従って、本問のような場合にも相手方は保護されるてよい。
