法令ノート/刑訴法/捜査/逮捕･勾留の諸問題のバックアップの現在との差分(No.2)

バックアップ一覧
差分を表示
ソースを表示
バックアップを表示
法令ノート/刑訴法/捜査/逮捕･勾留の諸問題へ行く。
- 1 (2010-10-24 (日) 09:41:44)
- 2 (2010-11-12 (金) 01:55:31)
- 3 (2010-11-12 (金) 17:45:11)
追加された行はこの色です。
削除された行はこの色です。
#norelated
#region(目次)
#contents
#endregion
*1  二重逮捕･拘留 [#i0d2c7dd]

Ｑ   逮捕･勾留の効力の及ぶ範囲 
(1)人単位説
→一度勾留されれば他の事実による勾留はできない
(理)勾留は身柄処分である             
(批)
それならば、余罪を援用した勾留延長も許さないはずである。
しかし、本説はそれをを許す以上、令状主義の潜脱を認めることになってしまう
||CENTER:(1)人単位説|CENTER:(2)事件単位説(通判)|h
||一度勾留されれば他の事実による勾留はできない|逮捕・勾留は、同一の事実に基づく必要がある|
|(理)|勾留は身柄処分である|嫌疑事実ごとに&BR;二度の司法判断を保障すべきだから|
|(批)|ならば、余罪を援用した勾留延長も許さなれいはず。&BR;しかし、本説はそれをを許す以上、&br;令状主義の潜脱を認めることになる。||

(2)事件単位説(通判)
→逮捕・勾留は、同一の事実に基づく必要がある
(理)嫌疑事実ごとに二度の司法判断を保障すべきだからである
※事件単位の原則 ⇒ 逮捕・勾留の効力は令状に記載されている犯罪事実にのみ及ぶとする原則

※事件単位の原則；　逮捕・勾留の効力は令状に記載されている犯罪事実にのみ及ぶとする原則
実定法上の根拠

Ｑ事件単位説でいう「事件」とは何か(Q被疑事実の同一性の判断基準)
→公訴事実の同一性（312-1）
→公訴事実の同一性（§312-1）
(理)
Ａ罪で逮捕されＢ罪で勾留請求することは、全く許されないわけではない。
罪名の変化のたびに逮捕を繰り返すことは不当だからである。
かかる概念は訴因変更のためのものであり、類似の機能を営むからである。


*2 別件逮捕･勾留 [#td707122]

**(1) 別件逮捕･勾留とは何か [#m925e92d]
→重大な本件の取調べを目的として、逮捕・勾留の要件を具備している別件で逮捕・勾留すること

Q 別件逮捕･勾留の判定基準
||本件基準説 (田宮)|別件基準説 (平野)(実務)|
|(批)|本件を基準に判断すると、&br;本件の取調べをするかどうかは捜査機関の主観に関わる以上、&BR;逮捕段階で別件逮捕か否かの判断は難しい。||
そこで
別件逮捕を違法と判断するための基準→令状主義の潜脱があるか否かによる

別件および本件の犯罪としての軽重の比較
②　逮捕の取調べ状況
③　別件と本件の捜査が当初から並行して行われていたか否か

　　
**(2) 許されるか(Q 要件が備わっている別件の逮捕を違法といえるか) [#hb2f94fb]
→ 許されない
||CENTER:(1)|CENTER:(2)|CENTER:(3)|h
|(理)|CENTER:第一次逮捕・勾留&BR;(別件の逮捕拘留)|CENTER:第二次逮捕・勾留&BR;(本件の逮捕拘留)|CENTER:本件取調|
|~|① 逮捕拘留の目的に反する&BR;(逮捕を自白獲得の手段とできない)&BR;② 法定の拘束期間を設けた趣旨に反する&BR;③ 令状主義(憲§33)の潜脱にあたる|別件逮捕は実質的な本件の逮捕。&BR;↓したがって&BR;逮捕の不当な蒸し返しとなる&BR;(再逮捕･勾留禁止原則に違反する)|余罪取調の限界を越える|
**(3) 規制方法 [#w0330c4d]
|(1)事前的抑制として||
|(2)事後的抑制として|①違法収集証拠として証拠能力排除(→毒樹の果実論の適用)|
|~|②公訴棄却|
*3 再逮捕･勾留(逮捕･勾留の一回性の原則) [#v0a95c0a]

根拠 ⇒ 法は､逮捕拘留に関して身柄拘束期間を限定している(§)

事件単位説･人単位説との関係

**(1)一罪一逮捕･一勾留の原則 (同時的一回性の原則) [#u5bd59a2]
1 意義

根拠( 明文規定がない。)
しかし、
①本原則をとらなければ、逮捕・勾留の期間制限の潜脱になる。
②再逮捕(§199-3)は本原則の例外であるからあえて明文の規定をおいたと考えられる。

2 一罪の基準→実体法上の罪数

Q この原則に対して例外があるか
|||CENTER:例外の成否|CENTER:(理)|h
|①|科刑上一罪|CENTER:×|一罪に対して、刑罰権は一個しか発生しない。&BR;↓∴&BR;訴訟上も同様に扱うべき。|
|②|常習賭博罪|CENTER:○&BR;(釈放後に同一犯罪の一部（常習行為）を行えば、&BR;後の事実を根拠に勾留できる)|形式的には、本原則に反する。&BR;しかし、&BR;後の事実について、罪証隠滅・逃亡のおそれがある。&BR;検察官は一罪の全部を同一に処理すべきであるが、&BR;この場合はそれが不可能である。|

**(2)再逮捕･勾留の禁止原則   (異時的一回性の原則) [#abc43a36]

1 意義

再逮捕(§199-3)の要件
→厳格に判断すべきである
(理)
逮捕・勾留の期間制限を無に帰するような不当な蒸し返しを抑制するためである。

再勾留禁止の例外

再逮捕が認められる以上、それに続く処分も認められる。
但し、再勾留については許容する明文はないし、
逮捕と異なり、長期の身柄拘束処分である。
したがって、厳格な要件が必要である。

①　重要な新証拠の発見、逃亡・罪証隠滅のおそれ等の復活
②　犯罪の重大性
③　逮捕の不当な蒸し返しとはいえない

2 Q この原則に対して例外があるか

||(例題)||||h
|(1)|被疑者を逮捕した直後（引致の途中）迷走||||
|(2)|逮捕して引致後に逃走||||
|(3)|逮捕し釈放後､事情の変更により再び逮捕の必要性が発生||||
|(4)|勾留し釈放した後に勾留する必要性が発生||||
|(5)|勾留期限満期まで拘束後、不起訴釈放後に新たな捜査の必要が発生||||
|(6)|逮捕後勾留前に釈放|①理由が手続的瑕疵にある場合|再逮捕→○||
|~|~|②被疑者の権利侵害があって勾留請求が却下された場合|再逮捕→×|適正手続違反であるし、将来の違法を抑制する必要があるから。|
||>|CENTER:例題|CENTER:再逮捕|CENTER:(理)|h
|(1)|>|逮捕した直後（引致の途中）迷走|||
|(2)|>|逮捕し引致後、逃走|||
|(3)|>|逮捕し釈放後、逮捕の必要性が発生|||
|(4)|>|勾留し釈放後、勾留の必要性が発生|||
|(5)|>|期限満了まで勾留し不起訴釈放後&BR;新たな捜査の必要が発生|||
|(6)|逮捕後勾留前に釈放|①理由:手続的瑕疵|CENTER:○||
|~|~|②理由:権利侵害による勾留請求却下|CENTER:×|①適正手続違反である。&BR;②将来の違法捜査を抑制する必要あり|
----
CENTER:[[戻る>法令ノート/刑訴法]]
法令ノート/刑訴法/捜査/逮捕･勾留の諸問題 のバックアップの現在との差分(No.2)

法令ノート/刑訴法/捜査/逮捕･勾留の諸問題のバックアップの現在との差分(No.2)
