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* 当事者とその確定 [#nf10cf03]

|当事者とは→|①訴えまたは訴えられることにより判決の名宛人となる者(形式的当事者概念)|
|~|② (実質的当事者概念)|

当事者の確定→訴訟において誰が当事者であるかを明らかにすること

**確定の必要性 [#cd3a1117]
・当事者以外の者が訴訟に関与している場合に排除
・判決の効力が及ぶ者を明らかにする

**確定の基準 [#l5aa9063]
&color(red){Ｑ}; 訴訟の当事者を誰と確定すべきか。⇒ 訴状の記載を基準とする(百選 №15,16)
(理)
当事者が確定されなければ、訴状送達ができず、訴訟を開始することができない。
したがって、基準を明確にし、当事者を迅速に確定する必要があるからである。
もっとも、
まったく形式的に判断するならば、具体的に妥当な結論を導くことはできない。
そこで、
一切の訴状の表示を合理的に解釈して、当事者を判断すべきである。
したがって、基準を明確にし、当事者を迅速に確定する必要がある。
もっとも、まったく形式的に判断するならば、具体的に妥当な結論を導くことはできない。
そこで、一切の訴状の表示を合理的に解釈して、当事者を判断すべきである。

２、例えば、Ａ株式会社代表取締役乙を訴えるにあたって、会社の所在地が不明な場合、
被告を「Ａこと乙」として訴え提起した場合はどうか。
→ Ａが当事者であることを訴状から合理的に判断できるなら、当事者を会社としてよい。
したがって、この場合は、表示の訂正の問題となる。
→ Ａが当事者であることを訴状から合理的に判断できるなら、当事者を会社としてよい。(∴ この場合は、表示の訂正の問題となる。)

** Ⅱ 氏名冒用訴訟（受56-9） [#keb33da4]
例　甲が乙と称して丙に対して訴えを提起する場合
　　甲の乙への訴訟に丙が乙として応訴した場合

本件訴訟の…（当事者の確定基準の論証）
右基準からすると、本件訴訟の当事者は乙である。
　
それでは、この場合、当事者及び裁判所はどのように振る舞うべきか。
　
１ 訴訟継続中に人違いが判明した場合
　  
(1)当事者からは任意的当事者変更の問題となる。
　
(2)裁判所は無権代理人による訴え提起と同様に扱うことになる。
(理)
権限がない者が訴訟追行していた点で共通するからである。
具体的には当事者となるべき者を呼び出し、
任意的当事者変更の要件を満たすならば、その者に訴訟を続けさせる。
そうでなければ、訴えを却下する（§70）。
　
２ 人違いを看過したまま判決が下された場合、被冒用者に判決効が及ぶことになる。
被冒用者がこれを防ぐには、上訴（§312-2）、再審（§338）の手続が必要である。
** Ⅲ 死者を当事者とする訴訟 [#p2044614]
例　死者が当事者とされているので相続人が訴訟追行
　この場合も、当事者はあくまで死者である。
　したがって、原則訴え却下すべきであるし、判決が出た場合は無効である。
　
　ただし、いかなる場合も右のように処理をするのは、訴訟経済に反する。
　例えば、
　訴え提起後、訴訟係属前に当事者が死亡し、その相続人が応訴したような場合、
　相手方当事者の訴訟上の既得の地位の保障の必要性がある。
　そこで、
　右場合のごとく準備段階で潜在的な訴訟係属が生じているといえる場合、
　訴訟承継の規定（§124-1①・②）を類推適用すべきである。



* 当事者能力（§28,29） [#ad5b7fbf]
→訴訟の当事者となることのできる一般的資格

趣旨；無駄な審理・裁判を避ける

(1)　実体法上の権利能力者　（§28）
(2)　法人でない社団・財団で代表者・管理人の定めあるもの（§29）
　　　①権利能力なき社団・財団
　　　②民法上の組合(S37,12,18）

Q 民法上の組合に§29を適用して当事者能力を認めてよいか
→代表者の定めある限り認めてよい（S37,12,18）
(理)
組合財産は個人財産から独立して管理される。(民§676-1）∴ ⇒ 実質的に組合に帰属すべき法律関係は存在しうる。(この点で権利能力なき社団と異ならない。)
以上を踏まえると、組合にもその名で訴訟追行をさせた方が、便宜である。

もっとも、このように解すると、組合員の一部の者により他の組合員の権利が害される。
しかし、これは組合内部で代表者を選定する方法でコントロールするほかない。

&color(red){Ｑ}; 当事者能力の欠缺を看過したまま判決が確定した場合
|判決の効力||CENTER:(理)|
|(1)無効説&BR;(338条1項3号類推)|判決の効力を認めない|当事者が存在しないから|
|(2)有効説1|上訴・再審によって取り消す(§312-2④)||
|(3)有効説2|当事者とされた者に当該事件限りで当事者能力を認める。&BR;能力欠缺を主張する者は再審でも争えない。|この場合は、当事者が全く存在しない場合ではなく、&BR;ある程度実体を備えた組織体が存在する。&BR;こう解した方が&BR;紛争解決・訴訟経済に資する。|

* 訴訟能力 [#e3016dd5]
→ 単独で有効に訴訟行為をなし、又は相手方や裁判所の行う訴訟行為を受けうる資格

制度趣旨 ⇒ 訴訟追行上自分の利益を十分に主張し守ることができない者の保護にある。

|>||CENTER:未成年者|CENTER:被後見人|CENTER:被補助人･被補佐人&BR;(制限訴訟能力者)|h
|CENTER:民訴&BR;(§28)|(1)単独行為|×(原則)(§31本)|×(§31本)|×|
|~|~|○(例外)&BR;⇒§31但｢独立して法律行為を行える場合｣&BR;① 営業の許可(民§6)&BR;② 無限責任社員となる許可(商§6)&BR;③ 婚姻による成年擬制 (民§753)&BR;④ 賃金請求 (労基§59)(通説)|~|~|
|~|(2)法定代理人&BR;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;(保佐人)の&BR;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;同意ある行為|×(§31本)&BR;&nbsp;&nbsp;下記の場合でも訴訟能力なし&BR;&nbsp;&nbsp;① 同意を得て法律行為をした場合(民§6)&BR;&nbsp;&nbsp;② 処分を許された財産(民§5)に関する訴訟|×(§31本)|○(民§12-1④)&BR; 但&BR; 終結行為は要特別授権(§32-2)|
|~|(3) 応訴|×|×| ○(同意不要)(§32-1)(注)&BR; 但&BR; 終結行為は要特別授権(§32-2)|
|CENTER:人訴||意思能力ある場合に限る(人訴§1,3-1,24,26)|×(通説)|○(人訴§3-1)|
&nbsp;&nbsp;(注)⇒保佐人には代理権がないのに、その同意を要すると、訴え提起をした者の訴権が害されるから。

二、無能力者の訴訟行為は当然に無効となる。
(理)
訴訟行為が積み重なった後に取り消しうるとなれば、手続の安定を害するからである。
また、訴訟能力ない者の訴訟追行は、判決についての上訴・再審事由となる(§312-2④･§338-1③）

(3) 未成年者の労働契約から生ずる訴訟についての訴訟能力
(4) 人事訴訟における訴訟能力

三、訴訟能力の欠缺

Q 裁判所が取るべき処置
まず、能力の有無は職権で調査する。
また、一定の期間を定めて代理人の選任などを内容とした補正命令を出す（34)。

訴訟能力の欠缺を看過してなされた本案判決の効力

&color(red){Ｑ};　無能力者は単独で上訴できるか


 
* 代理人･代表者･補佐人 [#mc1a22d1]
代理人 ⇒当事者本人の名で、当事者の代わりに、訴訟行為を(行い)受ける者

制度の趣旨
①訴訟無能力者の権利保護
②訴訟能力者の便宜 (弁護士による訴訟代理により、当事者の負担を軽くし、有利な訴訟追行を期待できる。)

１、訴訟代理権の有無は、書面による証明（規§15・§18）が必要である。
同様に代理権の消滅については、相手方に通知する必要がある（§36）。

２、代理権の有無は訴訟要件であるから、ない場合は補正の対象となる（§34-1）
補正されない場合、当該訴訟行為は無効となる。
当該訴訟行為が訴え提起、訴状の受領にあたる場合、訴えは却下される。
また、欠缺が看過されてなされた本案判決については、上訴・再審を求めうる。

|>|>||>|CENTER:法定代理人|>|CENTER:訴訟代理人|h
|>|>|定義|>|代理人の地位が本人の意思に基づかない者|>|代理人の地位が本人の意思に基づく者|
|>|>|分類|実体法上の&BR;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;〃|訴訟法上の&BR;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;〃|訴訟委任による&BR;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;〃|法令による&BR;&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;〃|
|~|~|~|(§28)||事件ごとに委任をうけ&BR;代理権を授与された者|法令により&BR;一切の訴訟追行をなし得る者|
|>|>|CENTER:例|親権者()&BR;特別代理人(民§57,§826,860,775)&BR;不在者管理人(民§25)&BR;相続財産の管理人(§936)&BR;遺言執行者(民§1012,1006)|訴訟無能力者&BR;の特別代理人(§35),&BR;証拠保全の場合(§236)||支配人|
|CENTER:本人&BR;の&BR;地位|>|訴訟能力|×||○弁論能力補充のため||
|~|>|更正権|×||○(§84)||
|~|>|訴状表示|必要(§133-2)||不要||
|CENTER:代&BR;理&BR;人&BR;の&BR;地&BR;位|>|資格|不要||･弁護士(地裁)(§54-1本)||
|~|>|訴状表示|必要(§133-2)||不要||
|~|>|判決書表示|必要(§253-1)||不要(§224-1)||
|~|>|証人適格|×(§341)&BR;↓&BR;当事者尋問(211)||○||
|~|>|鑑定人適格|×(§341)||○||
|~|>|親族による&BR;除斥原因|×(§35)||×(§35)||
|~|代&BR;理&BR;権&BR;の&BR;範&BR;囲||§50-1,-2||特別授権事項(§81-2)&BR;①反訴提起&BR;②控訴･上告･取下&BR;③手形訴訟の異議取下&BR;その同意&BR;④訴え取下･和解&BR;･請求の放棄･認諾&BR;･訴訟脱退&BR;⑤復代理人選任|実体法の規定による&BR;&BR;(§81不適用)(§82)|
|~|~|複代理人選任|○(自己責任)(§45,民106)||△(特別授権)(§81-2 )||
|>|>|本人に対する&BR;訴訟行為の効力|無効||有効||
|代&BR;理&BR;権&BR;消&BR;滅&BR;原&BR;因|>|原則|>|>|>|民法その他の法令に従う|
|~|本人|死&BR;亡|○(民§111-1)||>|×(§85)|
|~|代人|~|~||○(民§111-1)||
|~|本人|後&BR;見&BR;開&BR;始|×(民§111-1)||×(民§111-1,653)||
|~|代人|~|○(民§111-1)||○(民§111-1)||
|~|本人|破&BR;産|||×(民§111-1,653)||
|~|代人|~|||○(民§111-1,653)||
|~|>|辞任･解任|×||○(民§651-1)||
|>|>|CENTER:中断|○(民§210)&BR;&nbsp;&nbsp;(民訴§124-1)||×(民§213)||
 
二、代理人・本人の地位

本人は訴訟追行できる地位を失わない。また、本人の死亡・訴訟能力の消滅は、訴訟代理権の消滅事由とはされない。
(理)
委任事務の範囲は明確に法定されているし、
委任者の信頼を裏切られることも少ないから

&color(red){Ｑ};真の代表者と登記の表示が異なる場合に表見法理を類推適用できるか。

法人に訴え提起する場合、代表者の確定には登記によるしかない。
そこで、相手方保護の為に表見法理の規定の適用を認めるべきか
(&color(red){Ｑ}; 訴訟において代表権限の有無に関し表見法理を適用できるか)

→否定(判)　
(理)
①善意・悪意で結論が左右されるのは明確性に欠け、手続の安定の要請に反する。
表見法理は取引安全のためのものであるから、訴訟法に適用を認めるべきでない。
②法人の真の代表者によって裁判を受ける権利を害する

&color(red){Ｑ}; 弁護士法に違反する代理行為の効力 (P120)
|(1) §25違反の場合|>|(1)無効説|>|(2)有効説|
|~|①絶対的無効説|②追認説|③|④異議説(通判)|
|(2) §57②違反(業務停止中の弁護士の訴訟行為)の場合|||||
|(3) §72違反(非弁護士の訴訟行為)の場合|>|無効説|||
|(4) §54違反の場合|>|有効説&BR;訴訟行為は有効。&BR;以後訴訟関与を排除できるのみ|||
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