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*Ⅰ債権者代位権 [#ad5c0b21]

**制度趣旨 [#i08a08e7]

**要件 [#h9679962]
①債権保全の必要性（債務者の無資力）（§423-1 ）
②債務者の権利不行使
③債権の履行期到来（§423-2本,反対 ）
　例外　裁判上の代位行使　（§423-2本, ）
　　　　保存行為　　　　　（§423-2但）
④代位権の客体は債務者の一身専属権でないこと（§423-1但）

本条の趣旨
代位権の客体は債務者の責任財産を構成する権利であることを要する
∴
①財産権で②制執行可能でなければならない

ｑ錯誤無効の主張
ｑ解除権・取消権
ｑ消滅時効援用権（債権者は債務者に代位して消滅時効を援用できるか）思Ｐ91

Ｑ無資力要件の要否
原則   [363]
例外
(1)被担保債権が特定債権の場合 [364]
(2)被担保債権が金銭債権の場合  
①自動車事故の被害者が､保険会社に対して､加害者が保険会社に対して有する保険金請求権を代位行使する場合 [365]
②被相続人が生前に土地を売却し､二人の共同相続人が売主の地位を相続したが､一人の共同相続人が移転登記義務を履行しない。
そのため､他の共同相続人が自己の代金債権を保全するため､買主に代位して､登記手続に応じない相続人に対する買主の所有権移転登記請求権を代位行使する場合  [366]

**行使方法 [#sd000060]

Q  代位者は直接自己に給付（登記名義の移転を）するように請求できるか [371]

(1)原則→債権者は第三債務者に対して、自己への給付を求めることができる。
(理)債務者が給付を受領しないおそれがあるからである。

＊ この場合、債権者は債務者への給付の返還義務を負うが、相殺によって自己の債権について事実上の優先弁済を受けうる。

(2)例外→登記請求権を代位行使した場合、登記を自己名義に移転することを請求できない。
(理)登記については、給付が受領されないことがありえないからである。

**効果 [#l4d8ba21]
代位権行使の範囲 [372]

乙は甲に虚偽表示によって不動産を贈与し､甲の一般債権者丙が乙に代位し甲への移転登記を求めた｡
乙は虚偽表示の無効を主張できるか                  [373]

代位権の行使として代位の目的たる権利を処分できるか  [374]

裁判外の代位権行使の効果  [375]

**制度の転用の可否 [#x3679628]
（Ｑ1 このような便法を認めてよいか）思Ｐ93 [#v0575bae]
（Ｑ2 この場合には「債務者の無資力」が要件となるか）
中間者の登記請求権の代位行使                               [367]
賃借権者の保護手段として（債権の妨害排除請求の可否を含む） [368]
債権譲渡通知の代位行使                                     [369]
特定物債権への適用の可否
借家人は､借地人である家主が地主に対して有する              [370]
建物買取請求権(借地借家13条)を代位行使できるか
　　　　point 債権本質論（財貨か対人請求権か）


Q1 代位権を特定の債権を保全するために利用することができるか
→肯定
(理)本来は
強制執行の準備としての責任財産保全の制度にすぎず、
特定の債権を保全するために用いられるものではない。
しかし、
①条文上は、代位権行使の要件として、右のような目的を要求しているわけではない。
しかも、
②転用をを認める社会的必要性がある。

Q2 この場合にも無資力要件が必要か
→不要 (理)特定の債権の保全と債務者の無資力は関係がないからである。

*Ⅱ債権者取消権（§424～§426） [#e1228086]

**制度趣旨[#j78d2efb]
債権者取消権は責任財産保全の制度であるから、あくまで金銭債権保全のためにしか用いることはできない。
但し、
特定物債権も、債権者取消権の対象となる。
(理)特定物債権も損害賠償請求権という金銭債権に変じうる以上、この金銭債権も保全される必要がある。
~
Ｑ 破産法上の否認権と同視できるか[376] 

破産法上の否認権

|類&BR;型|CENTER:対象行為|>|>|>|CENTER:要件|CENTER:備考|h
|~|~|>|CENTER:客観|>|CENTER:主観|~|h
|~|~|>|>|CENTER:(請求原因)|CENTER:(抗弁)|~|h
|CENTER:基&BR;本&BR;類&BR;型|CENTER:詐害行為&BR;&BR;責任財産&BR;減少行為|>|CENTER:詐害行為&BR;&BR;除く&BR;①担保供与&BR;②債務消滅行為&BR;(§160-1①)|CENTER:詐害認識|CENTER:受益者善意||
|~|~|CENTER:詐害行為&BR;(同上)|CENTER:(危機時期)&BR;①支払停止後&BR;②開始申立後&BR;(§160-1②本)||CENTER:受益者が&BR;①支払停止+&BR;②詐害事実&BR;を知らない&BR;(§160-1②但)||
|~|~|CENTER:債務消滅行為|CENTER:給付価格>消滅債務額&BR;+&BR;§160-1該当&BR;(§160-2)|||CENTER:消滅債務額の&BR;超過部分|
|~|~|CENTER:(1)無償行為&BR;但&BR;①支払停止後&BR;②前６か月内&BR;&BR;(2)有償行為&BR;(上と同視)&BR;(§160-3)|||||
|~|CENTER:偏頗行為|CENTER:相当対価&BR;処分行為&BR;(§161-1)|CENTER:①種類を変更し&BR;隠匿の危険(①)|CENTER:②S者の隠匿意思(②)&BR;③相手に②の悪意(③)||CENTER:破産者の内部者に&BR;②が推定&BR;(§161-2)|
|~|~|CENTER:既存債務の&BR;①担保供与&BR;②消滅行為&BR;(§162-1)|CENTER:①支払不能後&BR;②開始申立後&BR;(§162-1①本)||&BR;債権者悪意&BR;(§162-1①本)|CENTER:推定&BR;(§162-2)&BR;(§161-3)|
|~|~|~|CENTER:①非義務行為&BR;+&BR;②支払不能前&BR;30日以内&BR;(§162②本)||CENTER:債権者善意&BR;(§162②但)||
|CENTER:特&BR;別&BR;類&BR;型|CENTER:手形債務支払|§163-1||||CENTER:支払を受けないと&BR;失権する場合は&BR;§162-1①の不適用|
|~|CENTER:対抗要件||CENTER:支払停止後の&BR;対抗要件充足&BR;(§164-1本)|CENTER:原因から&BR;15日経過後の悪意&BR;(§164-1本)||CENTER:本登記により&BR;非適用&BR;(§164-1但)|
|~|CENTER:執行行為|§165|||||
|~|CENTER:転得者への行為|§170|相手方に否認原因||主観的要件||
**法的性質（本質） [#i93e7a01]

→取消権に加え、請求権の性質を併せ持つ(折衷説)（通判） [377]

(理) 法文上、詐害行為を取り消す権利である。しかし、単に取り消しただけでは、責任財産保全という債権者取消権の目的を達成できない。

**要件 [#jb109aa9]
(1) 詐害行為の存在（客観的要件）　　　  財産権を目的とする法律行為であること
(2) 詐害意思の存在（主観的要件）　　　 「受益者」又は「転得者」が善意でないこと
　　　　　      Ｑ「受益者」善意・「転得者」悪意の場合はどうか
(3) 債務者の無資力  [379]

(1)について

Ｑ詐害行為は法律行為にかぎられるか         [380]

Ｑ取消債権者の債権の成立時期               [381]

Ｑ詐害行為か否かの一般的判定基準
詐害行為取消権

|CENTER:対象行為|>|>|>|CENTER:要件|CENTER:備考|h
|~|>|CENTER:客観|>|CENTER:主観|~|h
|~|>|>|CENTER:(請求原因)|CENTER:(抗弁)|~|h
|CENTER:詐害行為&BR;&BR;責任財産&BR;減少行為|>|CENTER:詐害行為&BR;(§424-1)|CENTER:詐害認識&BR;(§424-1)|CENTER:受益者善意&BR;(§424-1)|除く&BR;①担保供与&BR;②債務消滅行為|
|CENTER:偏頗行為|CENTER:相当対価&BR;処分行為&BR;(§424の2)|CENTER:①種類を変更し&BR;隠匿の危険(①)|CENTER:②S者の隠匿意思(②)&BR;③受益者に②の悪意(③)|||
|~|CENTER:既存債務の&BR;①担保供与&BR;②消滅行為&BR;(§424の3)|CENTER:支払不能時(§424の3-1①)|受益者との通謀(§424の3②)|(§424の3-1②)||
|~|~|CENTER:①非義務行為&BR;+&BR;②支払不能前&BR;30日以内&BR;+&BR;受益者との通謀(§424の3②)&BR;(§424の3-2①)|CENTER:受益者悪意(§424の3②)|||
|~|CENTER:債務消滅行為|CENTER:給付価格>消滅債務額&BR;+&BR;§424に該当&BR;(§424の4)|||CENTER:消滅債務額の&BR;超過部分|
|CENTER:転得者への行為|§424の5|受益者に取消原因(§424の5)|受益者からの転得者-転得者悪意(§424の5①)&BR;その他の転得者-全転得者悪意(§424の5②)|||
~

|>|CENTER:事例|CENTER:詐害行為の成否|CENTER:要件|CENTER:理由|h
|Q1|一部債権者&BR;への弁済|CENTER:○&BR;[383][384]|実価の下がった債権を&BR;名目額で弁済した場合|弁済は債務履行に過ぎないし、&BR;消極財産の減少を伴う。&BR;しかし、この場合は、&BR;責任財産の減少を伴う。|
|Q2|不動産の&BR;時価売却|CENTER:○&BR;[385][386]|CENTER:(§424の2)&BR; H31 立法化|Q 適正価格の処分なら&BR;責任財産は減少しないのではないか&BR;&BR;確実な担保といえる不動産を&BR;費消・隠匿しやすい金銭に換えることは&BR;実質的な責任財産の減少となる。|
|Q3|債権者への&BR;担保供与|①特定債権者に新担保供与:○|CENTER:(§424の3)&BR; H31 立法化|この場合は一部債権者への弁済と同視できる|
|~|~|②新借入時に担保供与:×|~|借入れ時にＧ者が担保を求めるのは当然のこと。&BR;仮にこれを封じるならば、&BR;債務者の金融の途を閉ざし、&BR;債務者の経済的再建を困難にする。|
|Q4|過大な&BR;代物弁済|CENTER:○|CENTER:(§424の4)&BR; H31 立法化||
|Q5|二重譲渡&Br;(劣後買人による､&BR;第二譲渡の取消)|CENTER:×[382]||ｑ 劣後買主の取消しを許すことは、&br;対抗要件制度の趣旨に反しないか&BR;しかし、&BR;債権者取消権と登記制度とは&BR;目的･要件･効果のいずれも異なる。&BR;債権者取消の要件を満たす以上、認めるほかない。&BR;&BR;・Ａの債権は金銭債権そのものではない。そこで、&BR;ｑ2 特定債権の保全を許すことにならないか&BR;→否定&BR;(損害賠償請求権に転化した時に認められる。)&BR;&BR;ｑ3 取消権者への移転登記を請求できるか。&BR;→ 否定&br;(理) これを許すと、対抗要件制度を無にする|
|Q6|財産分与|CENTER:○|分与額が過大で、&BR;分与に仮託した&BR;財産処分である場合|財産分与は､財産的行為ではない。&BR;故に、本来なら取消えない。&BR;しかし&BR;左の場合なら､もはや財産分与とはいえない。|
|Q7|相続放棄|CENTER:×|||
|Q8|遺産分割|CENTER:○|||

(2)について　　Ｑ詐害意思の内容
　　　　　　　　Ｑ「悪意」の挙証責任は誰が負うか [387]

受益者が善意､転得者が悪意の場合における詐害行為取消権の発生の有無 [388]
(債権者を甲､債務者を乙､受益者を丙､転得者を丁として､
乙が時価5000万円の土地を3000万円で善意の丙に売却し､丙がさらに4500万円で
悪意の丁に売却した(乙は無資力)
甲は､これを詐害行為として､丁を相手に取消訴訟を提起できるか)

**取消権の行使方法 [#ddfe87be]
Ｑ抗弁によって行使できるか [389]
Ｑ行使の相手方 [390]

**取消の範囲  [391] [#x3d2a9d7]

**取消の効果 [#k6454dee]
相対的取消の内容    [378]
Ｑ 取消権者は直接自己に給付するように請求できるか  [392]
→否定(原則)
→肯定(例外) 登記の移転請求の場合
　  
Ｑ 受益者は配当要求ができるか                 
→ 否定

まず債権者は現物の返還請求権を取得する。
現物返還が不可能な場合は価額賠償が請求できる。
いずれも自己に目的物の返還請求できる。
　
なお、
現物返還が原則とされている理由は、
債権者が相殺によって事実上の優先弁済を受けることを防ぐことにある。

かかる取消の効果は総債権者の利益のために生じる。
一方、
受益者が目的物を有償で取得した場合債務者に対して不当利得返還請求を持つ。
(理)
第三者を不当に犠牲にして、責任財産の保全をはかることまでは認めていないからである。
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