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参考文献1:「行政書士法コンメンタール」兼子仁 著(北樹出版)
参考文献2:「法令の読解法」田島信威 著(ぎょうせい)
参考文献3:「行政書士関係法令先例総覧」(平成16年1月1日現在)(日行連 編)

行政書士の業務範囲 Edit

(一) 業務範囲表 Edit

参考文献1を整理すると、行政書士の業務範囲について、次のような表ができる。

業務範囲.gif

(二) 表の説明 Edit

上記の表の意味するところは、次のとおり。

1. 法定業務は、 銑Δ吠類できる Edit

ぁ銑Δ吠類できることは明文の規定どおりで、特に説明を要しない。

これに対して、 銑に分類できることは、法令用語の使い方に係わることなので、以下に説明する。

行政書士法§1の2-1では、業務範囲として次のように定めてある。

「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成」
                      ̄ ̄ ̄

参考文献2によると、法令用語の使い方として、「その他」と「その他の」とは異なるとしている。

(1)「その他」が使われる場合…別個独立のものを並列的に結びつけるときに使われる。

┌──────────┐ ┌──────────┐ ┌──────────┐
│官公署に提出する書類│ │事実証明に関する書類│ │権利義務に関する書類│
└──────────┘ └──────────┘ └──────────┘

(2)「その他の」が使われる場合…例示されたものが部分と全体の関係になるときに使われる。

例:地方自治法§156-1

普通地方公共団体の長は、……、保健所、警察署その他の行政機関を設けるものとする。
                                              ̄ ̄ ̄

この場合は、行政機関の例示として、「保健所、警察署」があげられているのであって、
これらを包含した上位概念として「行政機関」があるときに用いられる。

┌──────────┐
│       行政機関     │
│┌───┐┌───┐│
││保健所││警察署││
│└───┘└───┘│
└──────────┘

以上より、行政書士法§1の2-1の定めにより、上記のように3分類できる。

2. 法定業務以外にも、業務としてなしうるものが存在する。(上記) Edit

なぜなら、憲法の保証する営業の自由(憲§22-1)に属するからである。

3. 業務( 銑)の範囲は、限定的に考えなければならない。 Edit

(1)法定業務( 銑)の範囲を限定する理由
この業務は、行政書士の業務独占領域になっている(§19-1)。しかも、違反に対しては刑罰が適用される(§21)。
さらに、この業務に該当する限り、行政書士は当然に職務上の義務(依頼応諾義務、守秘義務など)を負う。(§9、§11)
しかも、違反に対しては刑罰が適用される(§23、§23-1)。

これは、次のことを意味する。
・一般国民の営業の自由(憲§22-1)を制限している。
・行政書士にも義務を課している。
・行政書士法§1の2及び同法§1の3が、同法§21△侶哉核ゝの構成要件になっている。

しかし、国民の権利自由の制限は、必要最小限でなければならず(憲§13)、
また、刑罰法規の構成要件は、罪刑法定主義の要請により、明確でなければならない。

以上より、法定業務( 銑)の範囲は限定的に解されねばならない。
また、このように解しても、行政書士は法定外業務もできるので、実際上の不都合はないと考えられる。

(2)法定業務(ぁ銑)の範囲を限定する理由
この業務は、行政書士の業務独占領域ではない(§19-1)。
しかし、行政書士は当然に職務上の義務(依頼応諾義務、守秘義務など)を負う(§9、§11)。
したがって、(1)で述べた理由の一部がこの場合にも妥当する。

(3)法定外業務()の範囲を限定する理由
この点について、参考文献1は触れていない。しかし、以下の理由により、このように考えるべきだと思う。

まず、この領域の業務については、行政書士の職務上の義務が全て課されるわけではない。
例えば、依頼応諾義務について考えてみると、何の限定もないのに依頼の全てに応じねばならないとしたら、
あまりにも行政書士に無理を強いるものとなってしまう。
したがって、この分野については、依頼応諾義務を負わないと考えるべきである。

しかし、一旦依頼に応じた以上は、守秘義務を負うと考えるのが合理的である。
また、その他の職務上の義務についても、これを行政書士に負担させることにより、
その職務に対する信頼を担保することが合理的である。
だとすると、行政書士に義務を負わせる点では(1)と同一であり、したがって、(1)で述べた理由の一部がこの場合にも妥当する。

そこで、何らかの基準でこの業務範囲を限定すべきであるが、法定業務( 銑)に附随する範囲に限れば、
行政書士に義務を負わせても酷とはいえないと考える。

「 銑Δ防躾錣垢覿般」と限定するのは、以上の理由による。

4. 当然に報酬を請求できるのは、法定業務( 銑)に限られる。 Edit

この点について、参考文献1は触れていない。しかし、以下の理由により、このように考えるべきだと思う。

まず、委任契約(又は、準委任契約)では、当然に報酬請求権が発生しない。(民§648-1、同§656)
ところが、商行為においては、その特則として、当然に報酬請求できるとしている。(商§512)
しかし、行政書士は、当然に「商行為」を行う者とはいえない。(商§502「作業又は労務の請負」に該当するかは疑わしい。)
そのため、行政書士§1の2・同§1の3において、報酬の規定を設けたものと考えられる。

もっとも、民§648-1、同§656は、特約による報酬請求の発生を排斥するものではない。
したがって、行政書士の法定外業務()においては、委任契約において特約がある場合のみ報酬を請求できる。

5. 行政書士の業務に該当しても、全てが独占されているわけではない。 Edit

(1)実際には他の法律で制限されているものが存在する。(上記(1))
例えば、隣接士業の法律でその士業の業務独占となっていれば、行政書士の業務範囲からはずれる。

(2)また、他の士業と競合するものが存在する。(上記(2))
例えば、隣接士業の法律でその士業の業務となっていれば、行政書士の業務と競合する。

6. 業務範囲か否かの判断過程 Edit

ある事務処理を依頼された場合に、それが上記表のどこに位置するか(つまり業務範囲内かどうか)は、
以下の判断過程を経なければならない。

(1)まず、法定業務の 銑Δ乏催するか。(左に該当しなくとも、Г遼…螻斡般海砲△燭襪里任呂覆い)
(2)次に、 銑Г里い困譴に該当するとしても、他の法律により制限されているかどうか。

7. 結論 Edit

以上より
(1)上記表の(2) 銑Г(3) 銑のみが、実際に受任できる業務となる。
(2)ある事務処理が上記表のどこに位置するかは、行政書士§1の2・同§1の3・同§19と隣接士業法の解釈による。
(3)その際には、事務処理の内容を個別に検討しなければならない。

具体的事例問題 Edit

(財)民事法務協会提供の登記情報サービス Edit

標記に関しては、オンラインで不動産や会社の全部事項証明等を有償取得(印刷も可能)できます。
そこで、このサービスを使って顧客や得意先から登記事項証明取得の依頼を受けた場合に、

Q1 行政書士業務として、その取得について報酬を請求することが可能か。
Q2 取得だけに限定した場合と許可申請業務の一環の中でこのサービスを利用する場合とでは、違いがあるか。

(一)法務局に請求する場合 Edit

この問題を考えるにあたって、整理の都合上、法務局に請求する場合を想定して考えみます。

1. まず、登記事項証明書の交付手続を分析してみると、次のようになるでしょう。

仝鯢媽禅畚颪傍載する。
△海僚駝未鯔〔涯匹膨鷭个垢襦
証明書を受領する。
ぞ綉 銑を代理人として行う。(手続代理)
ゾ綉 銑を使者として行う。(手続代行)

したがって、(++)×(+)=6とおりの行為になりますが、いずれも
行政書士法に定める法定業務に該当するといえそうです。(法§1の2,同§1の3)

2. 問題は、これが司法書士の業務独占となっていないかです。

司法書士法では、司法書士は、「登記…に関する手続の代理」(§3-1)「法務局に提出…する書類…の作成」(§3-1)を行うことを業とし、
この分野については、司法書士以外の者が「業務を行ってはならない」としています。(§73-1本文)
しかし、「他の法律に別段の定めがある場合……は、この限りでない。」としています(§73-1但書)。

そこで、この点について、法務省より次の先例がでています。

(昭和五十二年二月七日 法務省民事三第八五五号 法務省民事局第三課長回答)

行政書士が工事入札の指名願書(資格審査申請書)の作成に当り、
これに添付する法人の登記簿謄本の交付申請書の作成及び
法人の印鑑証明の代理申請を行うことは、
いずれも指名願書作成についての付随業務として、司法書士法に違反しない。

3. この先例により、次の結論が導かれると思われます。
(1)許認可申請に附随して交付申請を行うことは、行政書士の業務範囲である。(司法書士と競合)
(2)これと関係なく交付申請を行うことは、行政書士の業務範囲でない。(司法書士の独占)

さらに、
(3)権利義務・事実証明書類作成に附随して交付申請を行うことは、行政書士の業務範囲である。(司法書士と競合)
なぜなら、行政書士の法定業務は、許認可申請に限らず、契約書や議事録の作成も含まれるので、
(3)も(1)の延長線上の問題として考えてよいからです。

4. 次に、報酬を請求できるかですが、
この点については、行政書士の業務範囲に属する限り、当然に請求できるか(それとも特約を要するか)は別として、
請求できることかわりはないでしょう。

(二)(財)民事法務協会に請求する場合 Edit

1.まず最初に
(財)民事法務協会(以下では単に「協会」と表現します。)に請求するものや提供されるものは、
電子データ(電磁的記録)ですが、これは、行政書士法や司法書士法では、実物たる書類と同列に扱うので、
この点を特に考慮しません。

2.そこで次に
行政書士の業務範囲か、また、制限されていないか(司法書士の業務独占か)を考えてみます。

(1) 行政書士の業務範囲か

ここでは、(財)民事法務協会が「官公署」(行政書士§1の2,同§1の3)に該当するかが一応問題になります。
そして、参考文献1によると、同条の「官公署」にはその範囲について広狭の争いがあるようです。
しかし、一般的には、同条の適用範囲は限定的に考えるべきですから狭義に解して、協会は「官公署」に該当しないと考えるべきでしょう。
もっとも、そのように解しても、少なくとも法定外業務(表の)には該当しそうです。
なぜなら、協会から提供を受けるデータは官公署たる法務局が保有するものであり、しかも、事実証明に関するデータです。
したがって、これを行政書士が取扱う以上、職務上の義務を負わせることに合理性があるからです。

(2)行政書士の業務として制限されていないか(司法書士の業務独占か)

この点については、司法書士の業務独占とはいえないでしょう。
なぜなら、協会は「法務局」(司法書士§3-1)には当たらないし、また、
そもそも、インターネットを介して登記情報を広く簡便に提供しようとする制度趣旨から考えても、
司法書士の業務独占としたのでは意味をなさないからです。

3.最後に、
報酬を請求できるかですが、(一)で述べたとおり請求できると考えてよいでしょう。

民民間の和解合意書に代理人として契約捺印することの是非 Edit

行政書士法§1の3△硫鮗瓩ら、官公署に提出する書類については、紛争性のない合意契約であれば、代理人として契約書類を作成し、契約手続の代理(契約締結の権利も含まれていると解釈しますが)をすることは可能だと思われますが、

Q 民民間の和解合意書に関して、(紛争性がない時に限り)依頼人から契約締結の委任状を取交していた場合に、果たして、行政書士業務として受任できるか
和解合意書なる契約書を作成代理することはできるが、契約締結までの一方の代理は認められないのか。

大変に悩ましい問題ですが、この問題についても、上記の表の説明にしたがい、
まず、行政書士の業務範囲に含まれるかを検討し、
次に、他の法律で制限されていないかを検討してみます。

なお、参考にした文献・資料は次のとおりです。
────────────────────────────────────────
参考文献1:「行政書士法コンメンタール」兼子仁 著(北樹出版)
参考資料2:「改正行政書士法と今後の展望」(月刊「日本行政」 2002年2月号(351))
参考資料3:弁護士法72条に関する学説・裁判例・立法例(特許庁)

なお、参考資料2については、全ページを末尾に添付しておきます。
────────────────────────────────────────

前提事項 Edit

契約締結の代理とは、「代理人として契約の合意形成に関与すること」をさす。

「代理人として契約に関与すること」とは、一般に、次のことをさすでしょう。
本人に代わって、相手方と交渉すること
本人に代わって、意思表示をすること(その結果、本人に権利義務の変動が生ずること)
本人に代わって、契約書に署名(記名押印)すること

まず、行政書士の業務範囲に含まれるか Edit

行政書士法§1の3

前条(行書士§1の2)の規定により、行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を
代理人として作成すること

上記のように行政書士法が改正され、新たに行政書士の業務として、契約書を代理人として作成することが追加された。

ところで、本条は議員立法により追加されたものですが、弁護士会と妥協して成立した結果、その意味内容が明確ではない。
そこで、まず、本条の意味内容を探るところから始めねばならないが、
この点については、法案をとりまとめた保岡興治衆議院議員が日行連の研修会で行った講演が参考資料2に掲載されています。
本条に関する立法者の意思が端的に述べられているので、保岡議員の説明を以下に引用します。
(読みとりやすいように、当方の責任で、改行・行間開け・部分省略を施してあります。)

 行政書士の先生方が官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を
 代理人として作成することができると規定されたことによって、
 行政書士は契約書等に代理人として署名することができるようになったものであり、
 当然のことながら、自ら代理人として訂正することもできるようになりました。
 
 行政書士の先生方にとってみれば、弁護士法第72条に違反するような契約の代理までは
 行わないことは条文上明確になっているわけでございますから、契約書の作成の代理ではなく、
 できたら契約締結の代理ができる旨を明確に規定してほしかったということになりましょうが、
 この点は、弁護士会と何回もいろいろな打ち合わせをして、相手が納得しないことから、
 私の責任で取りまとめさせていただいた条文案が契約書の作成代理ということになったわけです。
 その点は、私の責任でございますが、ご理解を賜りたい。
 
 といいますのも、やはり、法律行為自体を代理する、つまり、
 意思表示の瑕疵についても行政書士の先生方について判断し、
 あるいは法律上争いがあってい当事者間の丁々発止のやりとりを代理して、
 事実上和解に当たるような契約も代理できるとい うこと、
 これは弁護士だけができる業務です。
 それができると誤解されることを防ぐためには、このような表現がぎりぎりのところでした。
 
 今後の司法制度改革全体、あるいは今度のADRによる弁護士法72条の見直し、
 仲裁の代理人その他、いろいろ弁護士には業務開放を促していかなければならないという全体の観点から、
 ぎりぎりの 折り合い点というか、決め方であったことをご理解賜りたく存じます。
 
 少なくとも今回の法改正により、回路配置や著作物に関する売買やライセンス 等の契約も含め、
 その契約書類等を行政書士の先生が代理人として作成できることが条文上明確にされたことにより、
 実際上の不都合は生じないものと考えております。
 
 契約書作成等の代理業務が法律に明記されたのは、行政手続のみならず、
 私人間の権利義務に関する分野、例えば簡単な売買契約や家屋の賃貸契約など、
 行政書士の先生方が予防法学的に極めて重要な法律家としての役割を
 今まで以上に果たされることを期待したものと考えております……。
 
 ……、新たな業務については、行政書士の独占業務でないと位置づけられました。
 ……、紛争を前提としないような、あるいはそういう可能性のないと思われる契約は、
 一般的に弁護士以外の者でもできるわけです。

そして、この後、参加者との質疑応答の中で、総務省の担当者に同条項の意味内容を述べさせている。
保岡議員は、この担当者の説明を評して「私の説明よりかわかりにくいですが、正確無比でございます」と述べている。

そこで、以下に、総務省自治行政局行政課:福島課長補佐の発言を引用する。

第1条の3第2号
1.本規定は、弁護士法第72条において、事件性のない契約代理を
    弁護士以外の者が行うことを禁じているものではないことを前提に、
    行政書士が「 代理人として」契約その他の書類を作成することができるとしたものである。
2.「代理人として」とは、契約等についての代理人としてとの意であって、
    直接契約代理を行政書士の業務として位置付けるものではないが、
    行政書士が業務として契約代理を行うことを想定した規定である。
3.この規定により、行政書士は契約書面に代理人として署名することができるものとなる。

以上の福島課長補佐の説明から読みとれる行政書士法§1の3△瞭睛討蓮以下のようになると思われる。

々埓書士が、代理人として、契約その他の書類を作成できる。(→法定業務)
行政書士が、代理人として、契約書面に署名できる。(→法定業務)
9埓書士は、業務として、契約代理(←契約締結代理)を行える。
(但し、は本条項で、直接位置付けられているのではない。)(→法定外業務)

次に、他の法律で制限されていないか Edit

弁護士法第72条は、
事件性のない契約代理を弁護士以外の者が行うことを禁じていない。
(反対にいうと、事件性のある契約代理を弁護士以外の者が行うことを禁じている。)

参考資料
http://lantana.parfe.jp/gyome03.html

http://www.fukushima-as.com/as_co_news/file_name/gj5923061502

「行政書士制度再生戦略」
http://www5a.biglobe.ne.jp/~seimiya/teigen4.htm



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Last-modified: 2008-12-16 (火) 13:57:16 (3443d)