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行政書士の仕事日記 » 2007 » 11月

07年11月20日(火)

ADR研修課題 (その4)(民法)

posted by  西山 忠  in 08_生活・紛争(ADR) | 

問題 2
「相続させる」旨の遺言に関する最判平成3年4月19日(民集45巻4号477頁)
について、事実関係及び最高裁の判断の概要(主たる判決理由をそのまま
引用して下さい)を説明した上で、この判決の問題点や実務に与える影響などに
触れつつ、この判決に対するあなた自身の意見を述べなさい。

解答

一、事実関係
最判平成3年4月19日(民集45巻4号477頁)の事実関係は、以下のとおりである。
相続関係図

被相続人Aは、生前に自己の所有する不動産産つき、4通の自筆証書遺言を
残していた。
それらの遺言書においては、左のX1~X3にA所有の不動産を取得させる趣旨とも思われる記載があったが、Y1・Y2が、この遺言書によるX1~X3の権利取得を争うので、X1~X3はY1・Y2を被告として、本件の土地につき所有権を有することの確認訴訟を提起した。
この訴訟において、最高裁まで争われたのは、上記遺言書のうち次の記載の趣旨である。
────────────────
「~の土地は『X1の相続とする』」
────────────────
二、最高裁の判断(主たる判決理由)

この事案について、最高裁は以下の判断を示した。

(1) まず、「相続させる」旨の遺言の性質については、
「遺言において特定の遺産を特定の相続人に『相続させる』旨の
遺言者の意思が表明されている場合、当該相続人も当該相続人と
共にではあるが当然相続する地位にあることにかんがみれば、
遺言者の意思は、右の諸般の事情(※注)を考慮して、当該遺産を
当該相続人をして、………単独で相続させようとする趣旨」であると解する。
そして、更に続けて、
「遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は
遺贈と解すべき特段の事情がない限り、遺贈と解すべきではない。」とする。

(※注)
上記の「諸般の事情」として以下が指摘されている。

「遺言者と各相続人との身分関係及び生活関係、
各相続人の現在及び将来の生活状況及び資力その他の経済関係、
特定不動産その他の遺産についての特定の相続人とのかかわりあいの関係等」

(2) 次に、
「他の相続人も右の遺言に拘束され、これと異なる遺産分割の協議、
さらには審判 もなし得ないのであるから、このような遺言にあっては、
遺言者の意思に合致す るものとして、遺産の一部である当該遺産を
当該相続人に帰属させる遺産の一部の分割がなされたのと同様の
承継関係を生ぜしめるものであり、当該遺言において相続による承継を
当該相続人の受諾の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、
何らの行為を要せずして、被相続人の死亡の時(遺言の効力の生じた時)に
直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継される。」
「そしてその場合、遺産分割の協議又は審判においては、……
当該遺産については、右の協議又は審判を経る余地はない。」とする。

(3) もっとも、
「……当該特定の相続人……が所定の相続の放棄をしたときは、
さかのぼって当該 遺産がその者に相続されなかったことになる」し、
「また、場合によっては、他の相続人の遺留分減殺請求権の行使を
妨げるものではない」とする。

三、この判決の問題点

1.被相続人が特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言をした
場合において、その遺言の趣旨をどのように解釈するかは、被相続人の
意思解釈の問題である。
したがって、本件においても、Aの意思がどのようなものであったかを
合理的に解釈するほかない。
ところで、遺言は遺言者の最終の意思を尊重するため、相手方のない
単独行為とされている。これは、意思表示をすれば、それだけで遺言者の
死後に効力を生ずることを意味する。つまり、意思表示が相手方に到達
しなくとも、または、相手方の承諾を得なくても、意思表示としては効力
を生ずる。このため、遺言によってなしうる事項は、法律によって特に
許されたものに限られている。
そこで、遺言事項として法定されているものの中から、本件の遺言に
該当し得るものを選び出すと、以下があげられる。
(1)相続分の指定(§902)、(2)遺産分割方法の指定(§908)、(3)遺贈(§964)

2.では、本件遺言は上記(1)(2)(3)のいずれにあたると解すべきであろうか。
この点を検討するに先立ち、まず(1)(2)(3)を分類すると、2分できる。
1つは、(1)及び(2)で、他は(3)である。
前者のいずれかに該当すれば、遺産分割協議を経て相続人は権利を取得し、
取得原因は相続である。これに対して、後者に該当すれば、直ちに受遺者は
権利を取得し、取得原因は贈与になる。
その他、農地につき「相続」と「遺贈」があった場合を例にして両者を比較すると、
下記のようになる。

相続と遺贈の比較

  遺贈 相続
登記原因 贈与 相続
登記申請人 共同申請
(受遺者と相続人全員)
単独申請(相続人)
登録免許税 20/1000 4/1000
農地転用許可 必要 不要

この表からいえることは、遺贈よりも相続の方が権利取得者にとっては有利であるということである。
また、遺贈なら、相続人全員の協力を要する以上、遺言者の通常の意思に 反すると思われる。
なぜなら、共同相続人間で容易に遺産分割協議が合意に至る保証はない。
そのため、あえて遺言を残す趣旨は、残 された共同相続人間に無用の相続争いが生ずることを避け、
自己の望みどおりに財産を処 分したいと考えていたからこそである。
以上より、「相続させる」旨の遺言の解釈としては、(3)の遺贈にあたる場合は、
通常はなく、特段の事情がある時のみであることになろう。例えば、受遺者が
相続人でなければ、相続により権利を取得し得ないのであるから、遺贈にあたる
ことになる。
また、受遺者と相続人の全員から贈与を原因として登記申請があれば、
たとえ受遺者が相続人の一人であったとしても、遺贈と扱ってよいと思われる。
なぜなら、相続人の全員があえて遺贈として申請している以上、その意思を
尊重してよいからである。
(前記二、(1)の判示は、以上の趣旨に基づくものと思われる。)

そうすると、本件遺言が上記(1)(2)のいずれか(又はその組合わせ)にあたるかを
検討すればよいことになるであろう。

3.この場合の問題点としては、相続分の指定や遺産分割方法の指定においては、
後の遺産分割協議を予定していることである。つまり、分割協議が済まない以上、
最終的に権利取得し得ないのであるから、上記(1)(2)のいずれかに該当するとは
直ちには言い切れない。
では、「相続させる」旨の遺言において物権移転効を認めてよいであろうか。
(それともやはり、遺産分割協議を要するとすべきであろうか。)
この点については、認めてよいと考える。
なぜなら、前記三、2.で述べた趣旨から、やはり物権移転効を欲していたと
することが、遺言者の通常の意思(合理的意思)に合致する。
しかも、相続分の指定や遺産分割方法の指定があれば、もはや相続人は、
指定に反する遺産分割をなし得ないからである。
(前記二、(2)の判示は、以上の趣旨に基づくものと思われる。)

そして、以上からすれば、本件遺言は、(2)の遺産分割方法の指定に当たる
と考える。

4.もっとも、以上のように遺言者の意思を貫くことは、民法の予定する
均分相続の原則を破ることでもある。
そこで、遺言者の意思に均分相続の原則を破るほどの効力を与えてよいかを
検討しておかなければならない。
しかし、これも認めてよいと考える。
なぜなら、遺言者はもともと自己の自由に処分できる財産を有している。
(民§964)
そして、相続人としては、相続財産のうちの自由分を差し引いた残りの財産
である遺留分の限度で保護されているにすぎない。(民§1028、民§1031)
したがって、相続人の遺留分を侵害しない限り、均分相続の原則が遺言者の
意思を制限する理由になるとは思われない。
(前記二、(3)の判示は、以上の趣旨に基づくものと思われる。)

四、結論

かねてより、登記実務においては、「相続させる」旨の遺言に基づき相続を
原因とする所有権移転登記を認めている。
(昭和47年4月17日民事甲第1442号民事局長通達)
本判決が、本件遺言により相続人は直ちに権利を取得すると判断したのは、
以上の理由に基づき、この実務を追認したものといえるであろう。

以上

なお、残された問題点として、物権移転効をめぐって

(1) 登記の要否

(2) 遺言執行者の代理権の有無

(3) 遺留分減殺請求権行使の順序

Q §1033の趣旨

結論
①相続させる旨の遺言→②死因贈与→③生前贈与

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